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著者:為替カバ 更新日:2021年4月2日
トルコリラへのFX投資 メリット・デメリット・注意点は?
トルコリラは、ヨーロッパとアジアの中間に位置する、トルコの通貨です。

トルコ | |
人口 | 8200万人(19位/190か国中) 日本:1億2650万人 |
国土 | 78万3562平方キロメートル(36位/201か国中) 日本の約2倍 |
GDP | 7713億米ドル(19位/191か国中) 日本:4兆9717億ドル |
経済成長率 | 2.83%(105位/191か国中) 日本:0.81% |
インフレ率 | 16.33%(13位/191か国中) 日本:0.98% |
国債格付け | ムーディーズ:B1/S&P:B+ |
おもな産業 | 自動車(欧米や日本の大手自動車メーカーは、 トルコをヨーロッパへの輸出拠点としています)。 農業(主な作物は小麦、米、綿)。羊毛製品は世界有数の産地。 鉱物(石炭、クローム、鉄、銅、ボーキサイト、大理石)。 国際観光客数は世界6位で、年間4577万人がトルコに訪れます。 |
出典:JETRO(2018年)
そんなトルコリラに中・長期でFX投資する場合のメリット・デメリット・注意点について、投資家目線から見てみました。
目次
トルコリラへのFX投資 デメリットは?
- デメリット1 為替変動率が高い
- デメリット2 インフレ率が高い
- デメリット3 下落しやすい
デメリット1 為替変動率が高い
通貨の変動率が高いと、保有中の含み損が大きなることがあります。
そうなると、人によっては精神的にしんどくなります。
(自慢できませんが、私も経験があります!)
トルコリラ円の為替変動率は、先進国の米ドル円や豪ドル円より高いのはもちろん、同じ新興国通貨の南アフリカランド円やメキシコペソ円よりもさらに高いです。
トルコリラ円 | 米ドル円 | 豪ドル円 | ランド円 | メキシコペソ円 |
28.58% | 10.50% | 14.27% | 23.44% | 20.01% |
解決策:暴落後に購入し、暴騰後に売却するなど売買のタイミングを見計らう必要があります。
デメリット2 インフレ率が高い
インフレ率とは、物価の上昇度合いを示す数値です。
例えばインフレ率2%だと、1年前に比べて、モノの値段が2%上がる、つまり通貨の価値が2%下がることを意味しています。
インフレ率が高い国の通貨は、時間が経過するごとに、通貨の価値が下がる傾向にあります。
トルコのインフレ率、2018年は16.33%でした。
2019年9月の直近では下がってきましたが、それでも先進国の米ドル円や豪ドル円より高いのはもちろん、同じ新興国通貨の南アフリカランド円やメキシコペソ円よりもさらに高いです。
トルコ | アメリカ | オーストラリア | 南アフリカ | メキシコ | 日本 |
8.55% | 1.8% | 1.7% | 3.70% | 3.02% | 0.98% |
解決策:為替変動率の高さを利用し、為替レートが割高になったときに売却します。
なお、トルコのインフレ率推移や最新情報はこちらで確認できます。
→トルコリラ円の為替見通し
デメリット3 下落しやすい
トルコのインフレ率が高いため、為替レートも右肩下がりの状況です。
また、アメリカとの関係があまり良くないこともあり、アメリカとの関係悪化のニュースが流れても、下落します。
さらに、トルコ国内でテロが発生しても下落します。
かなりデリケートな通貨です。

解決策:このデメリットの解決策も売買タイミングの見極め。これに尽きます。
トルコリラへのFX投資 メリットは?
- メリット1 金利が高い
- メリット2 レバレッジをかけられる
- メリット3 実は経済成長率が高い
- メリット4 財政水準が安定
メリット1 金利が高い
金利が高いとなぜいいか?
それは、もらえるスワップポイントが高くなるからです。
トルコリラは先進国通貨や他の新興国と比較しても、とても高い政策金利を設定してくれてます。
トルコ | アメリカ | オーストラリア | 南アフリカ | メキシコ |
19.00% | 0.25% | 0.25% | 3.50% | 4.00% |
日本だと、高くても定期預金で0.1%と、比べる意味がないくらい低いです。
また、いつでも解約できる普通預金だと、金利はほぼ0%です。FXのトルコリラだと、いつでも解約できてこの金利なので、日本の預金事情と比較すると、その凄さがわかります。
また、スワップポイントは土日祝を除き、ほぼ毎日FX口座に振り込まれます。
毎日お金が入ってくるというのも、うれしいですね♪
メリット2 レバレッジをかけられる
トルコの政策金利は非常に高いですが、レバレッジをかけることで、投資に必要なお金を増やすことなく、さらに多くのスワップポイントをもらえます。
下の条件で、レバレッジごとにもらえるスワップポイントを見てみましょう
条件
・購入時のトルコリラ円為替レート:19.0円
・トルコリラ円1万通貨の1日あたりのスワップポイント:60円
レバレッジ | 1倍 | 1.5倍 | 2倍 |
用意する証拠金 | 19万円 | 19万円 | 19万円 |
購入通貨量 | 1万通貨 | 1万5000通貨 | 2万通貨 |
1日にもらえるスワップポイント | 60円 | 90円 | 120円 |
レバレッジ3倍だと、19万円に対して1日120円・年間4万3800円のスワップポイントをもらえます。年間金利では23.05%(!)です。
なお、FX会社によってもらえるスワップポイントが違いますので、なるべく高いスワップポイントを提供するFX会社を利用してください。
→トルコリラ円のスワップポイントを比較
メリット3 実は経済成長率が高い
トルコの経済成長率は、先進国や新興国と比較して、高めに推移しています。
トルコ | アメリカ | オーストラリア | 南アフリカ | メキシコ |
2.83% | 2.93% | 2.74% | 0.79% | 2.00% |
経済成長率が高い国は投資対象として魅力的なため、その国の通貨も活発に取引される傾向にあります。
メリット4 財政水準が安定
国の財政状況を知るのに良く用いられるものとして
「債務残高(借金)がGDP比でどのくらいあるか」
という指標があります。
そこで、債務残高対GDP比について調べました。
トルコ | アメリカ | オーストラリア | 南アフリカ | メキシコ |
30.17% | 104.26% | 41.37% | 56.71% | 53.62% |
トルコの財務残高対GDP比は、先進国や新興国の中でも非常に低い水準ですね。
ちなみに、2015年にデフォルトに陥ったギリシャは184.85%、日本は237.13%です。
トルコの財政は
- 高水準の経済成長率
- 国民の平均年齢が29.4歳と若い(日本は45.9歳)ため労働力が豊富
- 銀行セクターが健全
- 政権運営が安定
といった理由から、欧州諸国と比較しても良好な財政水準です。
トルコリラへのFX投資 注意点は?
注意点は3つあります。
- 売買のタイミングを見極める
- レバレッジをかけすぎない
- 暴落してもあせらない
売買のタイミングを見極める
年を追うごとに為替レートが下がっているため、値ごろ感でトルコリラ投資をしても、売却時に為替損失が発生している可能性が高いです。
時間分散でも、為替損失を回避するのは厳しいでしょう。
そのため、トルコリラへの投資は売買タイミングの見極めが必須です。
レバレッジをかけすぎない
レバレッジをかけすぎると、FX会社に預けた証拠金-最低必要証拠金以上の含み損が発生すると、最低必要証拠金を残して強制決済(ロスカット)されます。
最低必要証拠金:ほとんどのFX会社で購入通貨量の1/25
下の条件で、レバレッジごとのロスカット水準を見てみましょう。
条件
・購入時のトルコリラ円為替レート:19.0円
・スワップポイントは考慮しない
レバレッジ | 1倍 | 2倍 | 3倍 | 4倍 | 5倍 |
用意する証拠金 | 19万円 | 19万円 | 19万円 | 19万円 | 19万円 |
購入通貨量 | 1万通貨 | 2万通貨 | 3万通貨 | 4万通貨 | 5万通貨 |
最低必要証拠金 | 7600円 | 1.52万円 | 2.28万円 | 3.04万円 | 3.8万円 |
ロスカットレート※ | 約0.76円 | 約10.26円 | 約13.43円 | 約15.01円 | 約15.96円 |
※ロスカットレートは、1トルコリラ=19.0円の際の最低必要証拠金に固定して算出していますので、実際はもう少し低くなります。
つまり、レバレッジ5倍では、1トルコリラ=15.96円まで下がると保有ポジションがロスカットされ、証拠金19万円のうち、最低必要証拠金3.8万円だけが手元に残るイメージです・・・
約15万円の損失!
長期投資でのロスカットは、絶対に避けたいですね。
トルコリラの長期投資では、ロスカットされないためにも、最大でもレバレッジ2倍までにしておきたいところです。
レバレッジ2倍でも為替レートが変わらなければ、スワップポイント収入で年20%以上のリターンが期待できます。
暴落してもあせらない
例えば、2018年1月~2018年12月にかけて、30円台から20円台まで為替レートが下がりました。

この時の損失はレバレッジ別に下のようになります。
条件
・購入時のトルコリラ円為替レート:30円
・1年後のトルコリラ円為替レート:20円
・1年後の合計スワップポイント:38071円(1万通貨あたり)
レバレッジ | 1倍 | 2倍 |
用意する証拠金 | 30万円 | 30万円 |
購入通貨量 | 1万通貨 | 2万通貨 |
為替損益 | -100000円 | -200000円 |
スワップポイント | +38071円 | +76142円 |
合計損益 | -61929円 | -123858円 |
特にレバレッジ3倍では、合計で20万円近い損失が出ています。
このような暴落時に、絶対にあせって決済してはいけません。
私も含み損を抱えることがありますので、あせる気持ちはよく分かるのですが、ここはグッと耐える場面!
下の表は、辛抱強くもう1年待った場合の為替差損です。
条件
・購入時のトルコリラ円為替レート:30円
・2年後のトルコリラ円為替レート:20円
・2年後の合計スワップポイント:76142円(1万通貨あたり)
レバレッジ | 1倍 | 2倍 |
用意する証拠金 | 30万円 | 30万円 |
購入通貨量 | 1万通貨 | 2万通貨 |
為替損益 | -100000円 | -200000円 |
スワップポイント | +76142円 | +152284円 |
合計損益 | -23858円 | -47716円 |
損失がだいぶ軽減されていますね。
保有後に暴落しても、しばらく持ち続けると、スワップポイントの利益が為替差損を上回る可能性が出てきます。
まとめ
デメリット
- デメリット1 変動率が高い
解決策:暴落後に購入し、暴騰後に売却するなど売買のタイミングを見計らう - デメリット2 インフレ率が高い
解決策:為替変動率の高さを利用し、為替レートが割高になったときに売却 - デメリット3 下落しやすい
解決策:売買タイミングの見極め
※トルコリラ円の売買タイミングは、こちらで検証しています。
→トルコリラへの長期投資 ベストな売買タイミングは?
メリット
- メリット1 金利が高い
- メリット2 レバレッジをかけられる
- メリット3 実は経済成長率が高い
- メリット4 財政水準が安定
注意点
- 売買のタイミングを見極める
- レバレッジをかけすぎない
- 暴落してもあせらない
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