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著者:為替カバ 更新日:2024年4月23日
ニュージーランドドル(NZドル)円の見通し
こんにちは、為替カバです。
先進国の中で高金利通貨であるNZドルは、スワップポイント狙いのFXトレーダーに人気です。
ただ、スワップポイント狙いで長期保有する場合、NZドル円の今後の見通しはどうなるのか知っておく必要があります。
そこで、NZドル円の見通しについて、以下の点を調べながら予想しました。
- NZドル円過去10年チャートで為替レートの推移を検証
- NZドルと豪ドルの相関度を調査
- NZドル円急落相場と史上最安値、その原因
- ニュージーランド経済の見通し
- NZドル円の為替見通し
- ニュージーランド政策金利の見通し
- あわせて知りたい豪ドル円・米ドル円など他通貨ペアの見通し
1.NZドル円過去10年チャートで為替レートの推移を検証
NZドル円を長期間保有する場合、気になるのが過去の値動きです。
そこで、過去10年間NZドル円がどう推移してきたのか、為替チャートで確認しました。
特に、為替レートが大きく動いた時期について、その原因を調べることで、今後の見通しをある程度予測することができるかもしれません。
上の図は、NZドル円の過去10年の為替チャートです。
特に大きな値動きが7回発生しています。
①2008年8月~2009年3月のNZドル円暴落相場
100年に1度と言われる、世界金融危機の影響で、比較的安全とされる円が買われ、多くの高金利通貨が暴落しました。
この影響で、2008年8月1日に80.96円だったNZドル円の為替レートは、2009年3月1日には45.58円と、35円以上も下落しました。
②2009年3月~2010年6月のNZドル円上昇相場
2009年3月1日に45.58円だったNZドル円の為替レートは、2010年6月には68.48円と、約20円上昇しました。
この上昇相場は、アメリカの量的金融緩和政策 第1弾(QE1)によるものとされています。
③2010年10月~2011年7月のNZドル円上昇相場
2010年10月1日に58.83円だったNZドル円の為替レートは、2011年7月には67.13円と、10円近く上昇しました。
この上昇相場は、アメリカの量的金融緩和政策 第2弾(QE2)によるものとされています。
④2012年7月~2013年6月のNZドル円上昇相場
アメリカで2012年9月に再度導入された量的金融緩和 第3弾(QE3)の実施の影響で、NZドル円の為替レートは2012年7月~2013年6月にかけて、58.98円~83.41円まで約24円上昇しました。
⑤2015年1月~2016年6月のNZドル円下落相場
2014年12月、2012年9月に導入されたアメリカの量的金融緩和が終わったことから、市場にあふれ出たドルが買い戻される形になり、NZドルを含む他の高金利通貨が安くなりました。
さらに、中国経済の景気減速や、記録的な原油安での世界景気も重なり、安全資産とされる円が買い戻され、NZドルが安くなりました。
そのため、2015年1月~2016年6月にかけて、93.05円~73.62円まで約20円下落しました。
⑥2016年11月~2017年2月のNZドル円上昇相場
2016年11月、アメリカでトランプ氏が大統領に就任し、トランプ政策への期待感からアメリカ株高が進み、リスクオン※の状態になり、NZドル高になりました。
そのため、2016年11月~2017年2月にかけて73.79円~82.43円まで10円近く上昇しました。
※リスクオン:リスクの高い投資で積極的にリターンを求めようとする動き
⑦2020年2月末~2020年4月のNZドル円下落相場
2020年2月末、新型コロナウィルスの感染拡大により、世界市場がリスクオフ※の状態になり、NZドル安になりました。
そのため、2020年3月~2020年4月にかけて71.12円~59.51円まで10円以上下落しました。
※リスクオフ:リスクの高い投資を控える動き
結論
過去10年間は、ニュージーランド国内ではなく、世界の経済状況によってNZドル円の為替相場が大きく動いていることがわかります。
2.NZドルと豪ドルの相関度を調査
ニュージーランドとオーストラリアは地理的に、隣に位置しています。
過去10年のNZドル円と豪ドル円の為替チャートを比較すると、同じような値動きをすることが分かりました。
そこで、過去10年チャートから、大きく動いた要因ごとに、NZドルと豪ドルの変動期間と変動率と比較することで、NZドルと豪ドルの相関度合を調べました。
動いた要因 | NZドルの変動期間と変動率 | 豪ドルの変動期間と変動率 |
①2008年の世界金融危機 | 2008年8月~2009年3月 44%下落 |
2008年8月~2009年2月 44%下落 |
②量的金融緩和政策 第1弾 | 2009年3月~2010年6月 50%上昇 |
2009年2月~2010年5月 52%上昇 |
③量的金融緩和政策 第2弾 | 2010年10月~2011年7月 14%上昇 |
2010年9月~2011年5月 19%上昇 |
④量的金融緩和政策 第3弾 | 2012年7月~2013年6月 41%上昇 |
2012年6月~2013年5月 32%上昇 |
⑤量的金融緩和の終了 | 2015年1月~2016年6月 21%下落 |
2014年12月~2016年6月 24%下落 |
⑥トランプ相場 | 2016年11月~2017年2月 10%上昇 |
2016年11月~2017年3月 8%上昇 |
上の比較表からもわかるように、為替レートが動く要因は同じでも、NZドルと豪ドルで変動率・変動期間が若干異なることが分かります。
変動率:下落率はほとんど同じなのですが、上昇率には違いがありました
変動期間:豪ドルのほうが、NZドルよりも動き始める時期が若干早くなっていました
結論
豪ドルが大きく動き出したら、次はNZドルが動くと思った方が良いでしょう。
3.NZドル円急落相場と史上最安値、その原因
2000年~2020年でNZドル円が急落したのは以下の3回です。
- 2000年6月~10月のNZドル円急落相場
原因:ニュージーランドの経済不況 - 2008年8月~2009年3月のNZドル円急落相場
原因:世界金融危機 - 2015年1月~2016年6月のNZドル円急落相場
原因:アメリカ量的金融緩和の終了 - 2020年2月末~2020年4月のNZドル円急落相場
原因:新型コロナウィルスの感染拡大
最近は、ニュージーランド国内よりも世界景気の衰退時や、アメリカの量的金融緩和の終了で米ドルが強くなった時にNZドル円の急落が見られます。
NZドル円の史上最安値は1NZドル=41.87円です。今から20年以上前、ニュージーランドが経済不況に陥っていた2000年10月に起こりました。
4.ニュージーランド経済の見通し
ニュージーランド経済が不況に陥っていたのはかなり昔のことですが、その時に最安値を記録しました。そこで、ニュージーランド国内の経済に問題がないか経済成長率を確認しました。
下表は、ニュージーランドの経済成長率の推移です。
リーマンショックのあった2008年はマイナス成長でした。
また、2020年は新型コロナの影響で、経済成長率は-2.05%でした。
ただし、2010年以降の平均経済成長率は2.3%で、先進国の中では高い数値です。
2006年 | 2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 |
+2.75% | +3.96% | -0.41% | +0.32% | +2.01% |
2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 |
+1.87% | +2.55% | +2.19% | +3.14% | +4.00% |
2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 |
+4.18% | +2.62% | +2.81% | +2.18% | -1.48% |
2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 |
+6.09% | +2.44% | +1.07% |
※2023年はIMFによる2023年4月時点の推計です。
1~3月期 | 4~6月期 | 7~9月期 | 10~12月期 |
+2.0% | +1.5% | -0.6% | -0.3% |
5.NZドル円の為替見通し
直近1年のNZドル円為替相場を考察
NZドル円為替相場は、上昇相場でした。
2024年4月現在は91円台で推移しています。
日付 | ニュース | NZドル円 為替相場 |
2017年 12月11日 |
NZ準備銀行の次期総裁にエイドリアン・オア氏が任命 (オア氏の就任は、2018年3月27日の予定) |
NZドル高 (円安) |
2018年 1月18日 |
中国GDPの結果が予想より好調 →中国との貿易が盛んなオーストラリアが豪ドル高(円安) →NZドルもつられてNZドル高(円安)になりました |
NZドル高 (円安) |
2月5日 | 米国のNYダウ平均が暴落し、各国の株に連鎖する世界同時株安が発生 →高金利のNZドルを売って、信頼性の高い円を買う動きになりました |
NZドル安 (円高) |
2月7日 | ニュージーランドでの2017年12月の失業率が4.5% →市場予想の4.7%を下回りました |
NZドル高 (円安) |
2月8日 | NZ準備銀行が政策金利の据え置き(1.75%)を決定 →市場では、政策金利はしばらく据え置きになると予想 |
NZドル安 (円高) |
3月15日 | ニュージーランド10-12月GDPが前年比+2.9% →市場予想の+3.1%を下回りました |
NZドル安 (円高) |
4月10日 | 米中貿易戦争の警戒が和らぎました →リスク選好の円売りが先行し、NZドル高(円安)になりました |
NZドル高 (円安) |
5月29日 | イタリア政治の先行き不透明感でイタリア株が3%超の大暴落 →リスク回避でNZドルが売られました |
NZドル安 (円高) |
12月19日 | 米ドルの利上げ →今後も利上げが続くとの見通しでNZドルが売られました |
NZドル安 (円高) |
12月21日 | アメリカ政府機関の一部閉鎖 →リスク回避でNZドルが売られました |
NZドル安 (円高) |
2019年 5月8日 |
NZ準備銀行が政策金利の引下げ(1.50%)を決定 →市場では、政策金利はしばらく据え置きになると予想 |
反応なし |
2020年 2月末 |
新型コロナウィルスの感染拡大で世界市場がリスクオフに →リスク回避でNZドルが売られました |
NZドル安 (円高) |
NZドルの為替レートは、世界経済・アメリカ経済・隣国の豪ドルの影響を強く受けることから
- 米ドルの政策金利
- 豪ドルの為替相場
についても調べました。
米ドルの政策金利
アメリカの政策金利は、現在5.50%まで上がっています。
一方、ニュージーランドの政策金利は現在5.50%のため、アメリカの政策金利より上がる可能性が高いと予測しています。
豪ドルの為替相場
NZドルは「豪ドルの後を若干遅れて為替が変動する」という傾向がありますが、直近1年では豪ドルもNZドルと同様に上昇しています。
そのため、今後はNZドル円も上昇する可能背があります。
NZドル円の為替見通し 結論
ファンダメンタルズでは、ニュージーランドとアメリカの経済成長は堅実に推移しています。
そのため、円安に戻っていく可能性が高いです。
これらのことから、今後1年のNZドル円為替レートは、82円~93円と予想します。
6.ニュージーランド政策金利の見通し
NZドルの政策金利は、5.50%です。
NZドルの政策金利は、世界経済やアメリカの動向ほど為替相場に影響を与えません。
ただし、NZドルでスワップトレードする際は、今後の金利動向を知っておきたいところです。
3月 | 6月 | 9月 | 12月 | |
2017年 | 1.75% | 1.75% | 1.75% | 1.75% |
2018年 | 1.75% | 1.75% | 1.75% | 1.75% |
2019年 | 1.75% | 1.50% | 1.00% | 1.00% |
2020年 | 0.25% | 0.25% | 0.25% | 0.25% |
2021年 | 0.25% | 0.25% | 0.25% | 0.75% |
2022年 | 1.00% | 2.00% | 3.00% | 4.25% |
2023年 | 4.75% | 5.50% | 5.50% | 5.50% |
2024年 | 5.50% |
ニュージーランドの政策金利は、基本的に景気の動向や消費者物価指数(CPI)によって決められます。
ニュージーランドの消費者物価指数発表時期は、1月・4月・7月・10月の4回あり、
目標値の+1.0%~+3.0%に対して以下のように推移しています。
発表年 | 1月発表 | 4月発表 | 7月発表 | 10月発表 |
2017年 | +1.3% | +2.2% | +1.7% | +1.9% |
2018年 | +1.6% | +1.1% | +1.5% | +1.9% |
2019年 | +1.9% | +1.5% | +1.7% | +1.5% |
2020年 | +1.9% | +2.5% | +1.5% | +1.4% |
2021年 | +1.4% | +1.5% | +3.3% | +4.9% |
2022年 | +5.9% | +6.9% | +7.3% | +7.2% |
2023年 | +7.2% | +6.7% | +6.0% | +5.6% |
2024年 | +4.7% | +4.0% |
ニュージーランド準備銀行の発言
●2023年4月
「インフレ目標1-3%の達成には、大幅な利上げが必要」
ニュージーランド政策金利見通し 結論
消費者物価指数が目標値を上回っていて、ニュージーランド準備銀行の発言も利上げをほのめかしていることから、今後も政策金利を上げる可能性があります。
なお、NZドル円のスワップポイントは、ニュージーランド政策金利に左右されますが、FX会社によっても大きく違います。また、同じFX会社でも日によってもらえるスワップポイントが異なりますので、長期にわたって高いスワップポイントを維持しているFX会社を選ぶのが賢い選択です。
→NZドルのスワップポイントを比較
7.あわせて知りたい豪ドル円・米ドル円など他通貨ペアの見通し
他の通貨ペアの値動きのくせや見通しを知っておくことで、あなたにあった通貨を選ぶことができます。