
トルコ経済の情勢と今後の動向
高金利通貨のトルコリラを保有する場合、トルコ経済の現状と、今後の動向を知っておいて損はありません。
以下の流れで、わかりやすく紹介します。
- トルコ経済の現状
- トルコの貿易相手国と輸出入品目
- トルコ労働人口の予測
- 将来のトルコ経済(今後の動向)
トルコ経済の現状
その国の経済が発展しているか調べるには、GDP※成長率のチェックは欠かせません。
GDP:国内総生産のことで、一定期間内に生み出された付加価値の総額
下の図は、トルコの過去10年のGDP成長率です。

※2017年のGDP成長率は、IMF(国際通貨基金)による推計
トルコのGDP成長率は、リーマンショックの影響で2009年はマイナスですが、それ以外の年は全てプラスの成長率で、近年は5%前後の高いGDP成長率を維持しています。
また、トルコのGDP内訳上位5部門は、下のようになっています。
順位 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 |
部門 | 製造業 24.2% |
運輸・通信 14.9% |
商業・貿易 (ホテル・外食含む) 14.5% |
金融・保険 13.2% |
金融仲介サービス 9.3% |
※図の数字は、各部門のGDPに対する構成比
トルコGDP構成比1位 製造業
トルコの製造業における主要業種は、
- 1位:自動車・自動車部品
- 2位:鉄鋼
- 3位:アパレル・繊維
です。
トルコの 主要業種 |
動向 |
自動車・ 自動車部品 |
欧米や日本などの大手自動車メーカーは、トルコをヨーロッパへの輸出拠点 としています。 そのため、トルコに生産拠点を置く自動車メーカーは、トヨタ・ルノー・ ホンダ・メルセデスベンツなど数多く存在しており、トルコの自動車産業は 発展を続けています。 |
鉄鋼 | 中国経済の減速・ギリシャのデフォルトリスクによるヨーロッパ経済の低迷 から、鉄鋼産業は低迷しています。 |
アパレル・ 繊維 |
主要市場であるヨーロッパ市場では、中国やインド製品の進出を受け、 伸び悩んでいます。 |
トルコGDP構成比2位 運輸・通信
トルコは、ヨーロッパとアジアをつなぐ交通の重要拠点で、海上・陸上交易が発展しています。
さらに、トルコの航空運輸も最近急速に発展を続けており、乗客の伸び率は毎年10%以上増加しています。
通信では、携帯電話普及率93%、インターネット普及率55%と、高い普及率です。
GDP構成比3位は商業・貿易(ホテル・外食含む)
トルコはヨーロッパとアジアをつなぐ、交通網の発達した国で、恵まれたレジャー施設もある世界有数の観光大国です。2015年は観光客数3947万人と、世界で6番目に観光客が多く訪れます。
(日本は1973万人で16位、1位はフランスで8445万人)
トルコの貿易相手国と輸出入品目
トルコの貿易相手国・輸出入品目は、以下のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | |
輸出相手国 | ドイツ | イギリス | イラク |
輸入相手国 | 中国 | ドイツ | ロシア |
トルコの輸出相手国はヨーロッパ圏が多く、全体の48%を占めています。
つまり、トルコはヨーロッパの景気に強く影響を受けます。
一方、輸入についてはヨーロッパだけでなく、中東やアジアなど様々な国から輸入しています。
1位 | 2位 | 3位 | |
輸出品目 | 自動車・自動車部品 | 機械機器 | 貴金属類 |
輸入品目 | 機械機器 | 鉱物性燃料 | 自動車・自動車部品 |
トルコの輸出品目は、好調な自動車産業を反映し、自動車・自動車部品が1位です。
世界の自動車販売台数は、2010年から7年連続で伸びています。
2016年の自動車販売台数は約9386万台で、前年比4.7%の伸び率です。
輸入品目は、これまで1位だった鉱物性燃料が、原油安のため2位になりました。
さらに、トルコの経常収支も調べてみました。
2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 |
-39.4 | -11.4 | -44.6 | -74.4 | -48.0 | -63.6 | -43.6 | -32.1 | -32.6 | -39.0 |
※2017年の経常収支は、IMF(国際通貨基金)による推計
経常収支は
- 輸出額から輸入額を引いた「貿易収支」
- 海外投資による利益から、海外からの投資による利益を引いた「所得収支」
- 外国人旅行者がトルコで使ったお金からトルコ旅行者が外国で使ったお金を引いた「サービス収支」
- 途上国支援に出したお金を示す「経常移転収支」
を差し引きした金額です。
経常収支は赤字が続いていて、大半は貿易赤字によるものです。
トルコの貿易赤字は、石油や自動車産業の機械設備を輸入に頼っている影響が大きく、国内産業基盤の強化と輸出増加に取り組んでいます。
トルコ労働人口の予測
トルコ統計機構の人口統計によると、トルコの人口に関する以下のデータが見られます。
トルコ総人口 | 7769万人 |
平均年齢 | 30.7才 |
若年層人口 | 65% |
2023年人口予測 | 8245万人 |
高齢化問題が進む日本に比べ、平均年齢が若く豊富な労働力がこれからも続く見通しです。
将来のトルコ経済(今後の動向)
現在のトルコ経済には
- 経常赤字の状態が続いている
といった懸念材料はあるものの、
- 自動車産業や観光業が好調
- 現在トルコは人口ボーナス期※であり、2037年まで続く予定
といったことを背景に、今後も堅調に成長していくことが予想されます。
※人口ボーナス:総人口に占める働く人(15~65才)の割合が上昇し、経済成長が促進される
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